血液中の糖濃度の高い状態が続くため、神経や網膜、腎臓に合併症が出る糖尿病の治療に新薬が登場する。これまで血糖を下げるホルモン、インスリンの効果を高めるなどの作用を持つ薬剤が主流だった。
新薬は、いったん尿に排出された余分な糖質(グルコース)を腎臓が再吸収するのを妨げる形で血糖値を下げ、体重も減少させる。同タイプの6種類の薬剤が国内で治験が行われ、一部は欧米や国内で承認され始めている。国内に約950万人と推計される糖尿病患者の投薬治療に選択肢が広がることになりそうだ。
血糖値が降下
この薬は、腎臓内の糖を再吸収する部位である「SGLT(ナトリウム・グルコース共輸送体)2」の働きを阻害し、抑制する。
もともと腎臓には血糖値を一定に保つ働きがあり、尿の通り道の尿細管(近位尿細管)にある「SGLT2」の働きで、血液から尿に排出された糖の90%を回収している。