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記憶力などを調べる認知機能検査で認知症が疑われるレベルに相当した男性高齢者の6割が、自動車運転を続けているという大規模調査結果を、国立長寿医療研究センター(愛知県大府市)の研究チームがまとめた。高齢ドライバーが増える中、男性では認知機能が落ちても多くが運転を継続している実態が明らかになり、対策が急務となっている。
調査は2011~13年、大府市と名古屋市の65歳以上の住民約1万人に実施。認知症の簡易判定に国際標準として使われる認知機能検査を受けてもらい、現在運転を継続しているか、聞き取り調査した。
その結果、認知症疑い相当と判定された男性162人のうち、運転を継続していた人は61%(99人)に上った。同様に判定された女性130人では、15%(20人)だった。日常生活に支障がないレベルで軽度に認知機能が低下していた男性(2431人)では、86%が運転。同様の女性(2335人)は、37%だった。
現在、75歳以上の運転者には免許更新時に認知機能検査を行っているが、「認知症の恐れ」と判定されても、過去1年間に信号無視などの違反がなければ、医師の診断なしに更新できる。13年には約3万5000人が「認知症の恐れ」と判定されている。
調査をまとめた同センターの島田裕之・予防老年学研究部長は「認知機能が低下しても運転を継続している高齢者が予想以上に多く驚いた。本人や周囲が異変に気付いたら医療機関を受診することが大切だ。運転しなくても済む代替交通手段の充実なども急がれる」と話す。(ヨミドクター)